うちやま料理ものがたり
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第3回 食材としての「水」
 

陽射しも強く、暑い日が続いています。この時期の紫外線は思ったよりも強く、女性は注意が必要です。最近は、男性も紫外線対策といわれますが、 紫外線は絶対的な敵ではなく、適度に浴びることが必要です。日光浴という言葉があるように健康な身体を保つには必要な要素であることを覚えておいて下さい。

さて、食材としての「水」の話です。
皆さんは、インスタント麺の”どん兵衛”をご存知ですか?この商品には、関西向けと関東向けの2種類の商品があることを知っていますか?
パッケージの小さな記号で分類されています。

「関東のうどん」と「関西のうどん」の出汁は、それぞれ個性が違います。「関東のうどん」の出汁は黒くてしっかりとした味。少し乱暴な言い方ですが、濃口醤油の色と味が反映されている感じ。「関西のうどん」の出汁は、色が淡くてだしの旨味が効いてる。淡口醤油とカツオ出汁の味です。
この内容を受けて”どん兵衛”も使い分けられています。インスタントとて侮れません。

ここにも、前回お話した”硬水”と”軟水”の違いが関係しています。
関東には、富士山に代表される火山があり、地面にもたくさんのミネラルが含まれています。つまり、出汁の味が出にくい日本の中では”硬い水”なんです。そこで、味付けに濃厚な味わいの濃口醤油を用いることで味の深みを表現します。
関東のお寿司”江戸前の握り”もこの水の文化から生まれました。東京湾の魚を酢〆にしたり、甘辛いツメを塗ったり、貝類もプリプリに茹で上がるので寿司ネタに多く使われる。しかも、関東はこの肥沃な土地の特性から多くの野菜を豊富に生産することができます。

一方、関西は柔らかな水質で、出汁の味が豊かです。しっかりとした出汁にキチンと塩加減をすると醤油は香りだけ、つまり淡口醤油で十分なんです。
汁は透明で淡い色調。”関西は薄味”なんて言われますが、味付けは薄くても出汁の旨味が十分ある料理です。
生産される特徴的な野菜も瑞々しさや香りを愛でる物、繊細なものが多いように思います。

地方によりそれぞれ水が違い、その特性を生かした料理が生まれる。郷土料理です。その工夫を現代の科学ではなく、感性で成し遂げた昔の人は凄い!と思います。今よりも味覚のセンスは、素晴らしいのだと実感します。

次回は、「料理人の白衣」についてお話します。

 
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