夏本番を迎えた感じですね。毎日が蒸し暑く、日中の陽射しが刺さるように感じます。

さて、私が料理人を志したのは丁度19歳の頃。愛知県新城市の生まれです。
東京の帝国ホテルから始まり、ヨーロッパ、アフリカで過ごした期間を経て今があるのですが。振り返ってみると、いつも工夫と改善を心掛けていたように思います。こう言うととてもインテリチックに感じるかも知れませんが、単純に言えば同じ事をし続けるのが苦手なんだと思います。

いつも変化していたい、変わったことをしてみたい、そんな衝動にかられていたのかも知れません。その傾向は、今も変わりませんが・・・・。

料理と言うのは、刻々と変化する素材と向き合う仕事です。同じ種類の素材でも、その味や個性は異なります。人間の顔や個性が異なるように素材もそれぞれ全く違うはずです。皆さんにも、そんな個性が備わっているはずです。
この事を実感したのが、やはりヨーロッパでの経験です。欧米の人は、日本人よりもかなり自分の主張をハッキリと持っています。自己主張が強いわがままと言うのとは異なります。
自分というものをしっかりと持ち、自分のスタイル・考えを持つ。そして、その事をキチンと主張する。ただ目立ちたいのではなく個性として伝える事ができるのです。

料理は自己表現の世界です。あなたにしかできない、作れない世界を生み出す事ができます。そして、その作品は一瞬で消えてしまいますが、美味しい記憶は一生涯続きます。そんな素敵な世界は、料理の世界にしかありえません。こんな世界に出会えた事、続けてこれたことにとても感謝しております。
ただし、その境地に至るには、やはり厳しく自分と向き合うことが必要です。イバラの道ではありますが、その森を抜けると素晴らしい楽園が待っている。そんな繰り返しの道です。

どうか若き料理人の皆さん、一度しかない人生、「あなたらしく、あなたにしか出来ない世界」を作り上げて下さい。真剣に素直に向き合えば、自然という素材は必ずあなたの味方になってくれます。この世界の先輩として、ぜひとも伝えたいと思います。

悩み多き若者は、ぜひともメッセージをください。一緒に考えましょう！！